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2019年のサンマ漁は「戦後最悪」を記録。サンマの漁獲量の減少の原因とは

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業界・トレンド

2020/10/02

2019年のサンマ漁は「戦後最悪」を記録。サンマの漁獲量の減少の原因とは

サンマといえば、日本の秋の味覚の代表的な存在です。毎年、美味しいサンマのお刺身や塩焼きを楽しみにしている人は、多いのではないでしょうか。 しかし、近年では日本のサンマ漁が危機的状況に陥っています。 ここでは、現在のサンマ漁の状況や漁獲量が減少している理由、そして問題解決のために見直されている「集魚灯」についてまとめました。

2019年出足のサンマ漁獲量は50年間で最悪だった

水産庁の調査によると、2003年に1kgあたり100円以下だったサンマの価格が、2017年には250円以上まで高騰しています。 秋になると日本の食卓に当たり前のように並んでいたサンマですが、そんな伝統も今後は少しずつ変わってしまうかもしれません。ここでは、近年の日本のサンマ漁業の現状と変化についてみていきましょう。

※出典:水産庁「漁業経営の動向」https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/h29_h/trend/1/t1_2_2_2.html

サンマの漁獲量は年々減少している

日本では昔から当たり前のように行われているサンマ漁ですが、漁獲量は年々減少しています。 サンマの漁獲量は、最盛期には50万トンを超えていましたが、ここ数年は低迷を続けており、2017年のサンマ漁獲量は8.4万トンまで減少しています。 そして、サンマ漁獲量が減るとともに卸値はこの10年で倍近くまで上昇し、サンマは少しずつ庶民の食べ物から高価な食材となりつつあるのです。

2019年の出足のサンマ漁獲量

少ない漁獲量がずっと続いているサンマですが、2019年の出足は特にひどく、過去50年間で最悪のものとなりました。 漁業情報サービスセンターによれば、8~10月の全国のサンマの漁獲量はわずか2万トンにとどまりました。 これは、前年同期のおよそ2割です。2018年の漁獲量も約12万トンと芳しくなかったことを考えると、かなり危機的な状況だといえるでしょう。

10月下旬には漁獲量が回復

ただ、10月下旬の漁獲量は前年のほぼ半分となる9千トンまで回復し、10月30日・31日にはそれぞれ1千トンを超えました。 サンマ漁において、1日1千トンは堅調さの目安とされています。厳しい状況に置かれているサンマ漁ですが、2019年10月時点においては回復傾向にあるようです。

サンマの漁獲量が激減している3つの理由

サンマの漁獲量が激減している理由としては、「諸外国の漁獲量の増加」、「回遊ルートの変化」、「サンマ自体の量の減少」の3つが挙げられます。 ここでは、これら1つ1つについて解説します。

諸外国の漁獲量の増加

サンマ漁獲量の減少の理由として最初に挙げられるのが、諸外国における漁獲量の増加です。 特に漁獲量が増えているのは中国や台湾で、日本は近海での日帰り操業を行っているのに対し、これらの国々では大型船を用いて出向き漁業を行っています。 そのため、日本の近海にサンマが辿り着く前に、中国や台湾に獲られてしまう事態が起こっています。 2015年には、日本はサンマの漁獲量で台湾に抜かれ、世界第一位を奪われてしまいました。また、現在の傾向が続くと、中国にも抜かされる可能性が高いと考えられています。

回遊ルートの変化

回遊ルートの変化も、サンマ漁獲量の減少に大きく影響しています。 サンマは冷たい水温を好むため、日本周辺の水温が低い年には日本の近くを回遊します。日本周辺の水温が高い年には、日本の海域に入る前に南下してしまいます。 そして、ここ数年は温暖化の影響もあり、日本周辺の海水温が低い年が少なくなっています。 そのためサンマが日本の近くを通らず、船を出してもサンマを獲ることができないという状況が続いています。

サンマ自体の量の減少

さらに、サンマ自体の量の減少も指摘されています。 サンマ自体の量が減っている理由ははっきりとは解明されていませんが、理由として考えられるのは、生息域や食物連鎖のバランスの変化です。 近年の温暖化による影響は、非常に大きいといえるでしょう。さらにサンマのサイズも小さくなっており、100年後にはサンマの体重は40gほど軽くなると考えられています。 サイズが小さくなると外敵に負けるリスクも高くなり、生存競争において大きなマイナス要素だとされており、サンマ漁業は、さらに難しい状況になる可能性があるといえるでしょう。

サンマの漁獲量が減る中で見直される「集魚灯」

集魚灯とは夜間漁業において魚を集めるために使用される灯のことで、古くは松明が使われていました。その後、明治時代の後半から「石油集魚灯(石油ランプ)」、アセチレン灯などが用いられ、昭和になると電灯照明が普及し始めます。電灯照明も最初期の白熱電球から窒素などを加えたハロゲン灯へと集魚灯の技術は進歩を続けました。 集魚灯が時代によって移り変わる理由は様々ですが、特に大きなものは「燃費の削減」です。事実、1973年の第一次オイルショックは、従来の白熱灯・アセチレン灯から高騰する燃料費に対応できる放電灯(メタルハライド灯)が集魚灯の主流になる大きなきっかけになったのです。 そして、現在、注目されているのが「LED集魚灯」です。LED集魚灯は高効率なため、コスト削減が期待できます。 漁獲量が減少するなかで、利益を維持するために必要な省エネや使用燃料削減の要望はさらに高まると考えられます。今後もサンマ漁を続けていくうえでは、集魚灯の見直しも重要な課題の1つだといえるのではないでしょうか。

サンマは各国が注目している貴重な資源

ひと昔前までは、サンマ漁をする国は多くはありませんでした。しかし、現在ではアジアの国だけではなくヨーロッパ諸国もサンマに注目しています。 日本で庶民の味として親しまれ続けていたサンマですが、現在では貴重な資源だといえるかもしれません。

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