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破損や摩耗など。金型の劣化の種類と原因、防止方法とは

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業界・トレンド

2020/09/01

破損や摩耗など。金型の劣化の種類と原因、防止方法とは
食器や自動車部品、服飾品などあらゆるものがプラスチックで作られるようになった現在、さまざまな形状や特殊な性能を持つプラスチック製品が増えています。 それに合わせて、プラスチック製品を作る金型の形状も複雑化しており、さらには高機能なプラスチック素材に合わせてこれまでとは違う特性を持つ金型も増えてきています。 複雑になったプラスチック用金型は、以前にも増して使用時や保管時の取り扱いに注意しなければ、金型の劣化を早めてしまうほか、破損につながる恐れが高まっています。 今回は、金型を扱う上で最低限知っておきたいの劣化や破損の種類とその原因、防止方法についてご紹介します。

金型の破損の種類

金型の破損には主に「損傷」、「摩耗」、「腐食」、「疲労」、「衝撃」などの原因が考えられます。 以下にそれぞれの状態を簡単にまとめました。
破損の種類 破損の状態
損傷 何らかの原因で金型に傷がつくこと
摩耗 繰り返し使うことで金型の表面がすり減ってしまうこと
腐食 金型に水分や腐食性ガスが付着し、金型表面で化学反応が起こり、サビなどが発生してしまうこと
疲労 金型に長時間にわたって力が加わると金属が疲弊し、亀裂が入ったり割れの原因になったりすること
衝撃 瞬間的に強い力が加えられることで、割れの原因となること
なぜ金型に「割れ」、「摩耗」、「腐食」による劣化や破損が生じてしまうのでしょうか。その主な理由を以下で詳しく解説します。

割れの原因

プラスチック製品は非常に小さい部品も多く、細かいところまで複雑にデザインされた形状のものがたくさんあります。 そのような繊細で複雑なプラスチック製品を成形する金型には、プラスチック製品のデザインを反転させた細やかな型彫りが施されています。 デザインが細かくなるほど、細かい部分に応力が集中してしまうことで金型が割れる恐れがあります。 初めは小さな損傷であっても、その傷が起因になって大きな割れを引き起こすケースもあり、割れが大きくなれば設備トラブルにまでつながる可能性も出てきます。 また、壊れた金型は溶接補修を行うことが一般的ですが、金型の材料に熱に弱い素材を使っていると溶接時の熱の影響で、さらなる割れを生じさせてしまうことがあるため、金型の材料選びにも注意が必要です。

摩耗の原因

摩耗とは物同士が接触して擦れたときに、摩擦によって表面部分が削られてすり減っていくことです。 金型は射出成形する際、可動する型と固定されている型が合わさったときに型の合わせ目が摩耗していきます。 金型の合わせ目が摩耗すると、すり減った部分が隙間になり、製品の中に異物が混入してしまったり、隙間の部分に素材が入り込んで型から外れにくくなったりといったトラブルが生じる可能性があります。 そのため、金型の材料には耐摩耗性が高い、硬度の高い材料を使う必要があります。 最近では、ガラス繊維や炭素繊維を加えた繊維強化プラスチックの製品が増えているため、より硬度の高く、摩耗に強い材料を選ぶ必要性が高まっています。 また、一般的に硬度が高くなるほど摩耗に耐える力は強くなると考えられていますが、割れを防ぐ粘り強さである靭性は、硬度と反比例する傾向にあるので、材料選びも慎重に行わなければなりません。

腐食の原因

金型は金属でできているため、適切な方法で取り扱わなかった場合は腐食する可能性があります。 射出成形では作業時間を短縮するため、成形前にあらかじめ金型を熱しておいてから、樹脂を充填し、射出後には金型を冷却してできるだけ早く固める製造方法が採用されることがあります。 冷却には水が使われており、金型に水が付着したままの状態で保管すると、サビが発生して腐食の原因となってしまいます。 また、最近はプラスチックを燃えにくくする難燃剤を添加することも増えています。 成形時に難燃剤を加える場合、状況によっては腐食性のガスが発生することがあり、このガスが金型に付着すると表面が腐食し、金型の劣化や割れにつながります。 金型の表面が腐食すると、表面の鏡面性が失われ、製品の品質低下を招いてしまう恐れもあります。

金型の破損防止には監視が効果的

金型の破損は、成形時にプラスチック原料が金型に残ってしまった場合やエジェクタピンの折れなどによって引き起こされることが多くあります。 金型の破損を防止するためには、このような異常を検知し、異常が発生した時点ですぐさま成形を停止させることが重要です。 ウシオライティングの「PLUS-E」は、色と形を見極めて異常を検知する金型監視装置です。 業界初のデジタルカラー画像処理技術を採用し、成形品の色と形の違いを正確に見極め、いち早く金型の異常を察知します。 異常が検出された場合には、成形動作をすぐに停止させ、アラートを鳴らしてライン管理者に通知するとともに、異常検出時の前後5秒間の監視画像を残します。 異常時の前後の録画画像が記録に残るため、異常の原因究明がしやすくなり、被害を最小限に抑えることができます。

金型の劣化や破損を最小限に抑えるためには

製品を作るうえで、金型にかかる力を避けることはできないため、摩耗や割れに強い金型材料を選んだとしても、金型の破損を100%防ぐのは困難です。 金型の劣化や破損を最小限に抑えるためには、製造ラインでの異常発生時に即座に異常を検知し、ラインを停止することが重要です。 金型監視装置は最新の技術を用いて、人間の目だけではとらえることのできない金型の異常を速やかに察知することができ、初期の段階でトラブル対応ができる成形ラインの強い味方です。 金型の破損リスクの低減に興味がある人は、ぜひ詳細を現場で抱えている課題についてお問い合わせください。