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成形不良を防ぐ。プラスチック射出成形に「金型監視」が重要な理由

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ノウハウ・ハウツー

2020/10/02

成形不良を防ぐ。プラスチック射出成形に「金型監視」が重要な理由
プラスチックを射出成形する際に、本来の形状と違った形になってしまうことがあります。このような成形不良品は再処理や処分する必要があるため、労働時間や材料費の増大の要因のひとつとされており、今も昔も業界にとって大きな課題です。

このような射出成形における成形不良を防止するには、「金型監視」が重要です。その理由について解説していきます。

成形不良とは

まずは成形不良の代表的な種類について挙げていきましょう。

ヒケ

ヒケは成形したプラスチックの表面部分に凹みが生じてしまう現象です。樹脂を冷却して固める際に生じる厚いと表面と内部で温度差が大きな原因とされ、成形品のなかでも特に厚めの形状の製品はヒケになりやすい傾向があります。

剥離

表面に薄い膜が発生して剥がれてしまう現象です。剥がれた分だけ成形品の厚みが減少してしまい、表面の形状も本来とは違ってしまいます。 複数種類の樹脂材料を使用して成形する際に起こることが多いです。

反り

本来であれば、真っ直ぐであるべき形状の部分が外側に反り返ってしまうことを反りといいます。 主に残留応力や収縮などが原因で起こりますが、収縮は温度差が関係して起こることも多いです。

ウェルドライン

複数種類の樹脂材料を使用して成形する際に、線状の跡が発生してしまう現象です。 金型の中で樹脂材料が混ざり合うときに線状になり、そのまま固まるとウェルドラインになってしまいます。

フローマーク

樹脂材料が金型の中を流れる過程で、表面に模様のような跡がついてしまう現象です。 金型と材料が触れ合っている箇所で熱の移動が起こり、冷却速度に変化が生じることで発生します。特に家電製品などの外観が重視される成形品を製造する際には、注意する必要があるでしょう。

糸引き

ノズルが通常よりも高温になってしまうことで、成形が完了して金型を開く時に糸状の樹脂が発生してしまうことがあります。 このとき成形した製品はそのものは成形不良になりにくいのですが、次に成形する製品に溶けた樹脂が付着してしまい、デコボコのスジになってしまうケースが多いです。

成形不良の原因とリスク

前述したとおり、成形不良が起こる原因として温度が関係していることが多いです。 射出成形では装置内で樹脂材料を高温にして溶かしていますが、十分な温度が保たれていないこともあります。 樹脂材料は冷えると固まってしまう特性を持っています。もしも意図しない部分で固まってしまうと成形不良にリスクが高まってしまいます。

一方、ヒケやフローマークのように冷却が十分にできないことが原因で、成形不良になるケースもあります。 また、溶かした樹脂材料を均一に流し込めないことから、成形不良の原因になるも多いです。 不均一に樹脂材料が流し込まれると、熱の移動も不均一になります。これにより、温度が高すぎる箇所と低すぎる箇所ができてしまうことが考えられます。 僅かな不均一でも、大きな成形不良に繋がることがあるため、正確さを重視して作業を行わなければなりません。

射出成形で成形不良の製品が発生してしまった場合、そのまま同じ様に射出成形を続けると、また成形不良になってしまうことも珍しくありません。発見が遅れると成形不良の製品が多数できてしまう恐れもあります。 このような理由から、成形不良を防止するには金型の温度や射出速度などを小まめにチェックするのが望ましいとされているのです。

成形不良対策「金型監視」とは

前述したとおり、金型が正常な状態かを常にチェックできる体制を整えることがベストです。 ただ、目視で確認できる範囲は限られていますし、逐一、金型のチェックにまでは時間や人員を割けないことも考えられます。 そこでおすすめなのが「金型監視装置」による常態的な射出成形機や金型の状況の確認です。 例えば、ウシオライティングが製造・販売している「PLUS-E」には以下の特長があります。

■PLUS-Eの特長
・リアルタイムで金型や成形品の状態を確認できる。
・残留品を検知したらただちに射出成形機を停止することで、糸引きなどの被害を最小限に抑えられる
・デジタルカラー画像を出力できるので、より細かな異常を発見できる。
・上記の理由により、金型内での樹脂の混ざり具合も確認できるため、剥離やフローマーク、ウェルドラインの対策も可能 ・汎用性が高いので、幅広い射出成形機に設置できる。

このように金型監視装置を設置することで、成形不良品の発生や金型破損の被害の拡大を防ぐことができるのです。 特にデジタルカラーの金型監視装置はモノクロと比べるとより精度が高いので、検討することをおすすめします。

金型監視を徹底して成形不良を減少させよう

プラスチックの射出成形において、成形不良はどうしてもある程度は発生してしまいます。それでも会社としても担当者としても、無駄な経費が発生してしまう成形不良品は少しでも減らさなければなりあません。

金型監視装置の導入など、射出成形の基本である金型監視の方法や体制を見直すことで、成形不良削減の実現に向けてアプローチしてみてはいかがでしょうか。