人工光型植物工場や、太陽光・人工光併用型の植物工場にとって欠かせないのが「照明設備」です。植物工場を運営するうえでランニングコストの多くを占めるのが、照明の電力費用と発生する熱に対応するための空調設備ともいわれています。
生産性と費用のバランスに優れた照明装置を導入するためには、照明の種類について理解を深めておくべきでしょう。特に注目されているLED照明技術と併せて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
植物工場に導入される照明装置の種類
植物工場では、植物の育成に適した波長の様々な照明装置が使われています。例えば、広範囲の照明にはメタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプを使用する器具が用いられます。ともに強力な光源なので、まんべんなく作物に光を照射できるのが強みである一方、発生する熱も高いのがデメリットです。
栽培作物に近い距離に設置してしまうと、植物の表面温度が上がり「ヤケ」などの原因になるので、ある程度距離を保って設置しなければならないのです。
そのため、メタルハライドランプなどの照明を利用する場合、「工場の高さが一定以上ある」、「作物を『トライアングル型』に設置して栽培する」など、工場そのもの構造なども照明に合わせる必要があります。
また、先述したようにメタルハライドランプは大量の熱を放出するため、植物の育成に適さない温度にならないように、工場の熱負荷にも気をつけなければなりません。
当然、強力な光と熱を放射するだけ電力費用も大きくなってしまいます。とはいえ、一般的な蛍光灯が放出する光には植物の育成に必要な「赤色成分」が少ないというデメリットがあります。
このような課題を解決するために期待されているのが、LED照明装置です。その理由と概要を以下で解説します。
植物工場におけるLED照明の利点
植物工場におけるLED照明装置のメリットは、大きく3つ挙げられます。1つはメタルハライドランプなどと比べると消費電力が圧倒的に少なく、寿命も長いため「ランニングコストの低減」が実現できることです。また、LED照明は他の照明装置比べると「波長のコントロールが容易」であり、植物の種類や育成状況に合わせた赤や青などの可視光線を作りやすく、生産性の向上も図れます。熱もほとんど放出しないため、天井だけでなく作物を育成する棚そのものに設置するケースもあります。
太陽光・人工光型植物工場では補助光として育成が遅れている作物のすぐ側に設置して、成長を促すなど多様な用途で使えるのが大きなメリットです。さらにLED照明装置は、他の照明装置よりも紫外線の放射量が少ないので、万が一、工場内で発生してしまった害虫の行動もある程度抑制できる効果も期待されています。
このように植物工場においてはメリットが非常に多いLED照明装置ですが、さらに植物工場で普及するためには解決すべき課題もいくつかあります。最後に植物工場の分野でLED照明装置に求められているポイントを挙げていきます。
植物工場におけるLED照明の課題
LED照明が開発され市場に流通し始めた頃から、植物工場での利用は検討されてきました。事実、1990年代にはすでに大学などの公的な機関で盛んに試験が行われています。2000年まではLED照明の「出力不足」が大きな課題となっていましたが、日本の企業が植物の育成に必要とされる発光波長660nmの赤色LEDが開発されるなど克服しています。
現在、LED照明に求められているのは、他の照明装置よりも高価な「初期導入コスト（イニシャルコスト）」をいかに早く、低いランニングコストで回収できるか。という点です。これはLED照明装置自体の低コスト化はもちろん、LEDを生かすための「最適な光源の選定」、他の光源では難しい「LEDの独自性を生かした栽培」のほか、イニシャルコストとランニングコストを最大限に抑えるための「設備設計」の3点を考慮して導入する必要があるでしょう。
LED照明だけでなく、反射板や養液循環システムなども最適化することがより良い植物工場の経営につながるとされています。
ウシオライティングはLED照明の分野で植物工場に貢献
ウシオライティングは、漁に使われる「集魚灯」や大規模なコンサートなどの「舞台照明」、さらに半導体製造に欠かせない「露光装置の光源」など、様々な分野に適した照明機器を提供しています。各分野でもLEDは広く普及し始めており、国内トップクラスの照明メーカーであるウシオライティングもその研究開発、製品化に力を入れています。
植物工場におけるLED照明の重要性もいち早く気付き、最適化を図ってきました。その結果、今では多くの人工光型植物工場にウシオライティングのLED照明が導入されています。植物工場のコストや環境面でとても重要なLEDについて、少しでも興味がある人はぜひお問い合わせください。
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