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食品工場におけるHACCP(ハサップ)の義務化と対象範囲(A基準・B基準)

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2020/09/08

食品工場におけるHACCP(ハサップ)の義務化と対象範囲(A基準・B基準)
食品を取り扱う製造業者では、衛生面の管理を徹底する必要があります。そして、そのために2021年に日本で導入されるのがHACCP(ハサップ)です。ここでは、ハサップが義務化される理由と経緯、対象範囲について解説します。

2021年にHACCP(ハサップ)の導入が義務化。その理由と経緯

現在では日本企業の3割ほどしか導入していないハサップですが、2021年からは導入が義務付けられています。ここでは、ハサップの概要と導入が義務化される理由・経緯について確認しましょう。

HACCP(ハサップ)とは

ハサップとは、1970年代にアメリカで始まった食品の管理手法です。もともとは宇宙食の安全性の確保を目的に発案されましたが、現在ではハサップの考え方は世界中で広く受け入れられています。 特に先進国ではハサップを義務化している国が多く、今では食の安全性の国際基準になっているといえるでしょう。 しかし、日本においてはハサップの考え方はあまり普及していません。導入企業はおよそ3割で、そのほとんどは大企業です。この点において、日本は他の先進国に後れを取っている状態だといえるでしょう。

HACCP(ハサップ)が導入される理由

2019年12月時点で、国内での食品の取り引きにおいては、基本的にハサップを取り入れている必要はありません。しかし、海外との取り引きにおいてはハサップに順守していることが求められるケースは多々あります。このように現代の国際社会においては、ハサップの重要度は高まっており、日本も食品業界の国際競争力向上を図るための国策として義務化する必要があったのです。

HACCP(ハサップ)の導入の経緯

2018年6月に食品を取り扱う事業者に対して、ハサップの導入を義務化する「改正食品衛生法案」が衆議院にて可決されました。この法案の内容には、ハサップの義務化のほかにも食中毒への対策強化や健康被害情報の収集、衛生規制の整備、営業許可制度の見直しおよび営業届け出制度の創設、食品リコール情報の報告などが含まれています。 同法案が施行されるのは公布日から2年後の2020年6月です。その後は1年間の経過措置期間が設けられ、2021年6月には完全義務化が開始されます。 そのため、現在はハサップを導入していない中小企業もこの期日までにハサップを導入しなければなりません。

HACCP(ハサップ)の対象範囲

ハサップの制度化に当たり、各食品関連事業者は「基準A」と「基準B」のどちらかが適応されることになります。ここでは、どちらの基準が適応されるかの線引きと義務化される制度の違いについて紹介します。

基準Aと基準Bに分かれる理由

ハサップは飲食店、製造業など食品を取り扱う全事業者に適応されますが、その規模は各企業で大きく異なります。ハサップでは管理方法が事細かに定めらているため、従業員の少ない小規模の飲食店などで実施するのは大きな負担になることが想定されます。 そこで発案されたのが、基準Aと基準Bの2つに分ける方法です。事業形態や規模に応じて基準を使い分けることで、新制度の導入がスムーズになるといえるでしょう。

基準Aの対象範囲と衛生管理方法

基準Aの対象となるのは、一定の規模以上である食品関連事業者です。規模の条件を有しているかどうかは、従業員数や品質管理部門の有無などによって決定されます。 基準Aの対象となっている事業者は、食品衛生のレベルを保ためのガイドライン「ハサップ7原則12手順」を順守する必要があります。 ハサップを運用する「ハサップチーム」の編成から記録と保存方法の設定まで12の手順があり、各企業はすべての手順を順守しなければいけません。

基準Bの対象範囲と衛生管理方法

基準Bの対象となるのは、従業員50名以下の事業者、店舗での小売販売のみを行っている製造・加工・調理事業者、多くの種類の食品を提供しており変更頻度が頻繁な業種、一般衛生管理で対応できる業種などが含まれます。 基準Bが適応される場合には、ハサップ7原則12手順をすべて順守する必要はありません。義務として課せられるのは、ハサップの手順でも計画作成、管理・記録など一部のみです。なお、基準Bの対象企業でも自ら基準Aを選ぶことは可能です。

すでにHACCP(ハサップ)を導入している企業も

ハサップが義務化されるのは2021年ですが、すでに制度を導入している企業も多くあります。新しい環境に順応するまでには時間がかかりますが、早めに制度を導入すれば従業員も余裕を持って対応することができます。またハサップを導入することで汚染事故などを事前に予防することができるため、安全性の確保につながるといえるでしょう。 さらにハサップの導入することで企業のイメージアップも期待できます。いずれ義務化されることを考えれば、早めに取り入れて悪いことはありません。ぜひハサップの早めの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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